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可塑性 [メモ]


 メモ。後日、この直前の文章も紹介しよう。

 こうして、免疫系における「自己」と「非自己」の識別能力は、環境に応じた可塑性を示す。

 免疫系というのはこのようにして、単一の細胞が分化する際、場に応じて多様化し、まずひとつの流動的なシステムを構成することから始まる。それから更に起こる多様化と機能獲得の際の決定因子は、まさしく「自己」という場への適応だ。「自己」に適応し、「自己」に言及(リファー)しながら、新たな「自己」というシステムを作り出す。この「自己」は、成立の過程で次々に変容する。T細胞セレクターも抗体分子も、ランダムな遺伝子の組み換え、再構成によって作り出されていることは先にも述べた。その上、外部から抗原という異物が侵入する度に、特定のクローンが増殖し、さらにインターロイキンなどによって内部世界の騒乱が起こる。抗体の遺伝子には、高い頻度で突然変異が起こることは前に述べた。こうした「自己」の変容に言及(リファー)しながら、このシステムは終生自己組織化を続ける。それが免疫系成立の原則だ。

(『意味論』P104)





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驚嘆 [メモ]


 メモ。

 そこに抗原という異物が侵入すると、それに対応するクローンが刺激され、増殖が起こる。クローンはさまざまなインターロイキンを作り出し、多種類の細胞が刺激される。キラーT細胞が刺激されれば、「非自己」化した「自己」の細胞を殺す。NK細胞(ナチュラルキラー細胞)と呼ばれる特異性のにぶい細胞も参加する。やがてB細胞は抗体の合成を始める。サプレッサーT細胞が始動すれば反応は収束する。この経験は記録され、免疫細胞系は新しい平衡状態を獲得する。

 この一連の免疫反応が成立するためには、まず造血幹細胞からT細胞、B細胞、マクロファージなどさまざまな細胞への分化が正確に起こっていなければならない。

 ・・・

 そうした多様な細胞群が、インターロイキンの生産と需要を介して、感染など「非自己」の侵入に対しては、合目的的なまとまった反応を起こす。反応は、一般に必ず収束し、記憶を残す。このシステムの成立を規定しているのは何だろうか。

(『意味論』P102)






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