精神分析の存在論 その6
これはドイツ観念論の影響下で、という但し書きが必要かもしれないが、精神分析の思考は、主体の否定性を強調する場合と、「主体の否定性」の結果として「対象の否定性」が暴露されてしまった場合とで、様相が一変する。
カントのロジックに準えるなら、コギトや崇高の話と、倫理の話へと分離してしまう。
だがもはやこうなると「存在論」は脇に置かれてしまっているので、この話はここでやめておこう。
精神分析の存在論 その5
で、精神分析の考え方によると、人間は、物質界を人間の内部に把握しようとしたときに、「現象」として取り入れる代わりに「物自体」を水底に沈めた。
つまり、現象と物自体の間に強力な裂け目が形成されている。