多文化主義と目隠し
メモ。
多文化主義を唱える者の普遍的な位置を不断に支え続けている、まさしく特殊な文化背景ないしルーツとは、その「真相」、普遍という仮面の下に隠されているもの(「多文化主義の掲げる不偏不党な態度は、実際のところヨーロッパ中心主義でしかない……」)ではなく、むしろまったく対照的なものだ。つまり、特定のルーツを示す痕跡とは、その主体がすでに完全なる「根無し草」で、その者が本当に占めている位置は、普遍という名の虚空にすぎないという事実を隠蔽するための目隠し用のとばりとなる幻想だ。
(厄介 上 訳P387)