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意味を孕むこと その2 [メモ]


 メモ。

 もうひとつの具体的な例としては、芽生えたばかりの恋愛にみられる張りつめた状態がそうだろう。魔法の沈黙が破られる前、その状態の魅力というものを誰もが経験する--恋人の二人はすでにお互いに魅力を知っており、エロティックな緊迫感がただよう。このような状況そのものが意味を「孕んでいる」ように見える。つまり、その状況が「ことば」のなかにいきなり飛び込んで、その状況に名を与えてくれる「ことば」を探し求めようと「ことば」を待ちかまえているように見える--だが、一度言葉が現れてしまうと、それは決してしっくりとすることはない。かならず期待はずれとなって、魅力は失われ、生まれてくる意味はことごとく流産する……。

(厄介 上 訳P98)






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ドイツ観念論の意義 [メモ]


 メモ。

 しかし、ドイツ観念論が、存在論以前の手に触れることのできない領域=「現実界」の枠組みとその特徴を正確にとらえたのは、大きな前進だった。「現実界」とは存在論的に構成されている現実に先立つもので、存在論的な現実のとらえ方では理解できない領域のことを指す(これは「反論理主義」の立場から、あらゆる現実を「観念」の自己媒介による産物に還元してしまうという、ドイツ観念論についての常套句とは対照的だ)。存在論的にとらえた現実のあり方にこのような亀裂が走っていたことを最初に見破ったのは、カントだった。

(厄介 上 訳P93)





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