意味を孕むこと その2 [メモ]
メモ。
もうひとつの具体的な例としては、芽生えたばかりの恋愛にみられる張りつめた状態がそうだろう。魔法の沈黙が破られる前、その状態の魅力というものを誰もが経験する--恋人の二人はすでにお互いに魅力を知っており、エロティックな緊迫感がただよう。このような状況そのものが意味を「孕んでいる」ように見える。つまり、その状況が「ことば」のなかにいきなり飛び込んで、その状況に名を与えてくれる「ことば」を探し求めようと「ことば」を待ちかまえているように見える--だが、一度言葉が現れてしまうと、それは決してしっくりとすることはない。かならず期待はずれとなって、魅力は失われ、生まれてくる意味はことごとく流産する……。
(厄介 上 訳P98)
コメント 0