主体化 [メモ]
メモ。
オレたち自身を言語などの象徴秩序に従わせる過程を、ジジェクは主体化と呼んでいる。
この過程は、ポスト構造主義的な主体形成と同じだと思われるかもしれない。
しかしジジェクにとって主体化はそれだけではなく、双方向的な過程だ。
象徴秩序、あるいは大文字の他者はオレたちに先立っていて、オレたちを通して語る。
例えば、オレたちはある家族の中に生れ落ち、家族の姓を背負い、特定の社会的経済的位置を占め、特定の宗教を信仰している。
しかしその一方で、象徴秩序は不完全で、(原初的主体の)欠如によって構造化されているのだから、家族の姓や特定の社会的位置といった象徴界の諸要素を合体し、それをオレたち自身に対して物語る仕方は、オレたち自身のものだ。
(トニー・マイヤーズ 邦訳P81をテキトーに改訳)
ここで語られている主体は、「無」なので変わらない。
しかし、それを埋めるシニフィアンは「自己」と呼ばれ、修正され続ける。
だからこそブレードランナーのレプリカントは、まさに人間そのものと言ってよい。
主体は「無」で、偽の記憶によって埋められるのだから。
創造と狂気の歴史 その2
などと文句を言ったところでこの本の素晴らしさは変わらない。
要するに「基地外が創造だ」と叫んでも怒られない、ということだから。
オレのようなイカれた唯狂論者には、必読書といえよう。
松本卓也氏の主著と呼ぶにふさわしい出来だ。
創造と狂気の歴史 プラトンからドゥルーズまで (講談社選書メチエ)
- 作者: 松本 卓也
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2019/03/13
- メディア: 単行本(ソフトカバー)