セックス・ピストルズ
オレたちがセックス・ピストルズというバンドに見出しているのは、混乱だ。
オレたちはいつでも混乱の中にいるが、オレたちはそれを忘れようとしている。
バンドはオレたちに「お前たちは今ここで混乱の中にいるんだぜ、それが人生なんだぜ、それが現実なんだぜ」と叫び続ける。
逆に言うと、そう言い聞かされているときだけ、オレたちは混乱を自覚し続けている。
つまり、結局オレたちは、日常生活では混乱を忘れている。
言い換えると、オレたち自身の混乱を、バンドに押しつけることでしか、自覚できない、ということだ。
偽の暴露と真理との関係
オレたちはネットで好きなだけ偽の情報を書き殴り、真実が書かれているのは自分たちの書き込みだけだ、と断言する。
もちろんそれは本意ではないことを、オレたちは自覚している。
単に「知っていると想定された主体」の位置に、自分を置いてみたいだけのことだ。
しかし、本当に問題なのは、オレたちの書き殴る偽の情報が、たまたま真実を言い当てていたとしても、それが真実だと言えないことだ。
さらに、もっと問題なのは、真実は後からやってくるだけで、事前には存在しないことだ。
つまり、オレたちは書き殴ることによって精神の安定を得る、という以外の何ごともなしていないことに、気づき、反省し、心を入れ替えたうえで、・・・そのような書き殴りを継続していくしかない、という絶望的な「真理」をどれだけ自覚しているのか、その自覚こそにオレたちの存在意義があるのではないか、いやそこにしかオレたちの生きる意義はない、と断言することで、オレたちはやっと安眠できるのではないか、いやむしろ不眠への・・・。