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自己免疫と正義 [メモ]


 メモ。

 法と正義のあいだのこのような関係は自己免疫的な関係として理解するのが有効だ。法体系は正義を守る免疫的防御として機能する。それは何が正義かについての諸原理を保持し、政体にとって有害とみなされるものの同定を可能としている。そのような法体系抜きには、正義を規定し保護しうるようなものは何もないだろう。所与の決定を評価するためのいかなる規則も存在しないことになるのだから。しかし同時に、正義に適う決定は自らを守る法を宙吊りにし、攻撃しなければならない。なぜならそのような決定は、法を問いに付し規則を変形しかねない出来事に対してなされるものだからだ。したがってここまで引用してきた正義にかんする論考(「法の力」)においてデリダはねたとえ執筆当時においてはいまだ「自己免疫性」という述語が彼の語彙のなかに登場していなかったとしても、正義の自己免疫性を記述しているとみなすことができる。

(無神論P82)





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正義とは何か [メモ]


 メモ。

 デリダが正義と呼ぶのは、有限な諸決定をなすことの--つまり計算不可能な時間の到来にさいして計算をおこなうことの--こうした必要性だ。彼が述べているように、正義は計算不可能な時間性を必要とし、そこにおいて「正義に適うものかそれとも正義に適わないものかの決定に規則は何の保証も与えることはできない」。このことは逆説的に見える。なぜならそれが意味しているのは、何が正義で何が不正かにかんするいかなる保証もなくただその場で決定が行われるしかない困難な状況こそ、正義にほかならない、ということだからだ。しかしデリダが強調するのはまさしく、このような条件だ。

(無神論P80)




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