SSブログ

帰田の賦 [メモ]

 メモ、書き下し文。

都邑(といふ)に遊んで以て永久なるも、明略の以て時を佐(たす)くる無し。
徒(いたずら)に川に臨(いど)んで以て魚を羨(うらや)み、河の清まんことを俟(ま)てども未だ期あらず。
蔡子の慷慨(こうがい)に感じ、唐生(たうせい)に従って以て疑ひを決せんとするも、
諒(まこと)に天道は之れ微昧。漁父を追って以って嬉(たのしみ)を同じうし、
埃塵(あいじん)を超えて以て遐(とほ)く逝(ゆ)き、世事と長く辞(じ)せん。

是(ここ)に仲春の令月、時和し氣清(きよ)む。
原隰(げんしつ)鬱茂(うつも)し,百草滋榮(じえい)す。
王雎(おうしょ)翼を鼓(こ)し,倉庚(さうかう)哀(かな)しく鳴く。
頸(くび)を交(ま)じえ頡頏(けつかう)し、關關(かんかん)嚶嚶(おうおう)たり。
焉(ここ)に逍遙(しょうよう)し,聊(いささ)かを以て情を娯(たの)しましむ。

爾(しか)して乃(すなは)ち龍のごとくに方澤(ほうたく)に吟じ、虎のごとくに山丘(さんきゅう)に嘯(うそぶ)く。
仰(あふ)いで纖繳(せんしゃく)を飛ばし、俯(うつむ)いて長流に釣る。
矢に觸(ふ)れて斃(たふ)れ,餌を貪(むさぼ)りて鉤(つりばり)を吞(の)む。
雲間の逸禽(いつきん)を落とし、淵沉(えんちん)の魦鰡(さりう)を懸(か)く。

時に曜靈(ようれい)は景(かげ)を俄(かたむ)け、係(つ)ぐに望舒(ぼうじょ)を以てす。
般遊(ばんいう)の至楽を極(きは)め、日夕(じつせき)と雖(いえど)も劬(つか)るるを忘る。
老氏の遺誡に感じ、将(まさ)に駕(が)を蓬廬(ほうろ)の迴(めぐら)さんとす。
五絃の妙指を弾(は)じ、周孔の圖書(としょ)を詠じ、
翰墨(かんぼく)を揮(ふる)ひて藻(そう)を奮(ふる)ひ、三皇の軌模(きはん)を陳(の)ぶ。
苟(いやしく)も心を物外(ぶつがい)に縱(ほしいまま)にせば、あん(いずく)んぞ榮辱(えいじょく)の如(ゆ)く所を知らんや。






nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント