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欲望と欲動


 欲求と要求と欲望は違うことがよく知られている。

 では、欲望と欲動はどう違うのか。

 「欲動とは何か」を考えるのが相当にメンドクサイが、いくつかのポイントだけ整理しておく。

 そもそも欲動(という概念)は「部分欲動」からスタートしている。

 部分欲動というのは、要するに「口唇期」とか「肛門期」「性器期」におけるエネルギーの源泉の分類だったり、後にはそれらが(主に倒錯を分析されると明白化されるような)目標の分類として、捉えることができるようなものだ。

 そういった部分欲動が、後に、統一されていくような錯覚を感じさせるところがオモシロイ。

 つまり、「享楽」と同様、抽象的な方向性を誘発していることに注意しよう。


 他方、欲望と言えばあまり説明の必要がないくらいで、ただ単に他者の欲望だ。

 したがって、言語的な欠損という中心を持ち、いつも弁証法に巻き込まれている・・・一見、混乱しているように見えるが、主体が混乱しているだけで、現象としてはあまり心配するようなことはない。

 転移や「性別化の式」を説明するときは、欲動より欲望の方が役に立つ。




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