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ブレードランナー2049の主旋律


 ついまた観てしまった。

 SF映画としてはさほどの出来ではない(映像は素晴らしいが、展開は冗長でマニア向き)のに観てしまうのは、前作を含めてある種の思想として捉えているからだろう。

 レプリカントの苦悩は、「記憶」にすがりつき、それにすべてを賭けていることだ。

 だから、レプリカントと人間を分ける目安の一つは、その記憶が本物かどうか、だ。

 ところが結局レプリカントは、「記憶」が偽物だと気づき、自分が人間ではないことを知る。

 「記憶」に自らのすべてを賭けるという喪失のあと、さらに「人間ではないことを知る」という喪失を経験する、つまり二重の喪失だ。

 しかし、その二重の喪失は、もともと人間が幼少期に経験する構造と同じだ。

 だから、レプリカントが二重の喪失を経験すると、ますます人間に近くなる。

 これがこの映画のキモというか、少し聴き取りにくい主旋律というか、物語の前提にあるものだ。






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