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真理


 昔オレは、哲学とか精神分析を勉強していけば、何らかの真理の境地に到達すると漠然と考えていた。

 その発想は、昔の日本で仏教を学ぶ者たちが、中国へ行って修行するのと似ている。

 しかし、デリダの『真実の配達人』(1982『現代思想』臨時増刊、最新の翻訳タイトルは『真理の配達人』)を読んだときに、「ああ、オレが目指しているのは単純な真理とは違うんだ」ということに気づく。

 真理の構造は、ソクラテスの「無知の知」を少し複雑化したものでなければならない、と考えるようになる。

 たぶん「リベラルアーツ」とはそういうもので、自ら思考することが、真理そのものに影響を及ぼし、真理そのものが変容してしまうだろう、という考えに取り憑かれる。

 ある意味、妄想のようなものだが、それはそれで楽しい思考だ。





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