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あなたはいま一体何を考えているのか [メモ]


 メモ。

 この思考強迫の本質は、人間に絶え間なく思考が強いられるということにある。換言すれば無思考状態(これは睡眠においてもっともはっきりした形で生じる状態だ)に耽ることで必要に応じてときおり悟性神経を休息させるという人間の生来の権利が、私の場合、私と交信する光線によって当初より阻害されてきた。つまり光線は、私が何を考えているかをひっきりなしに知りたがった。たとえば、単刀直入に--字句通り--「あなたはいまいったい何を考えているのか」と問われた。そして人間は周知の如く--あるときには--何も考えないでいることができるし、また他方何千ものことを同時に考えることができるのだから、これはまったく馬鹿げた問いで、それ故また、私の神経はこういった不合理な問いにはまったく反応しなかった。このため問いを発する側は間もなく思考偽造の制度に逃避せざるをえなくなった。たとえば上の「あなたはいまいったい何を考えているのか」という問いに対しては、 「この男は世界秩序のことを・・・はずだ」 (考えているという語を補う)という答えが勝手に与えられた。つまり、 「この男は世界秩序のことを・・・はずだ」という言葉を口に出して言うときと同じ振動を起こすことが、光線の作用によって私の神経に強いられた。

(シュレーバー回想録)





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