欲望とデモクラシー [メモ]
メモ。
さて、私はここで、欲望についての右のような考え方はデモクラシーを求める欲望と相容れないものだと論じたい。デモクラシーを求める欲望は絶対的な充溢を求める欲望ではありえない。なぜなら、デモクラシーの理念そのものが絶対的充溢の理念を切り崩すからだ。デモクラシーの理念が絶対的充溢の理念だったとしたら、われわれが邁進する完全なデモクラシーを--たとえ有限な存在のわれわれには到達しえないものだとしても--考えることが可能になってしまうだろう。しかし、デモクラシーに向かって邁進するとしても、完全なデモクラシーに向かって邁進することはできない。完全なデモクラシーはデモクラシーを無化してしまう。なぜならデモクラシーを民主主義的だとするためには改善されうるものでありつつ頽廃しうるものでなければならないからだ。かくして、完全なデモクラシーの不可能性は充溢の欠如ではない。その反対に、完全なデモクラシーの不可能性は、デモクラシーの可能性を開いてくれる。
(無神論P381)
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