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造血幹細胞 [メモ]


 メモ。

 こうした別々の免疫細胞はどのようにして出来てきたのだろうか。

 結論から先に言えば、これら三つの細胞はすべて、たった一種類の造血幹細胞と呼ばれる原始的な細胞に由来する。造血幹細胞は、免疫細胞系のみならず、赤血球、血小板、多型核白血球(好中球、好酸球、好塩基球など)、血液や組織の中に分布する単核球など、あらゆる造血系細胞を作り出す大もとの細胞だ。

 幹細胞は、胎児が発生していく過程で、まず肝臓内に出現し、胎児の血液細胞のもとになる。出生後は骨髄中にひそんで、必要に応じてさまざまな血液細胞を作り出すと同時に、自分も自己複製しながら出番を待っている。放射線照射などで血液細胞が破壊されると、いちはやく分裂して各々の細胞を補うようになる。しかし、チェルノブイリ原発事故で起こったように、放射線の影響が造血幹細胞にまでおよぶと、もはやすべての免疫細胞をサプライすることが不可能となる。骨髄移植が必要になるのはそういう時だ。

 造血幹細胞は、骨髄細胞中に計算上10万個に1個の割合で存在する。しかし、本当にそれを見たのか、と言われると自信を持って答えられる人はいないだろう。形態の上でも、また細胞の表面で目印となる糖たんぱく質の組成からも、造血幹細胞を完全に区別することはいまだに不可能で、依然として謎の細胞だ。

(『意味論』P98-99)






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