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ドミニク その4 [メモ]


 メモ。

 続く5、6回目の面接では、一次去勢の問題がより明確に現れている。とくにドルトが一番興味深かったという6回目の面接で、ドミニクは周囲の人間を素材に人間にとっての性の意味を問い、そのなかで曖昧な性を断念し、さらにファルスの意味を問うところまできている。もっともドルトはドミニクの話をすべて理解したわけではないが、自由に空想する権利を保証してやることで、精神療法に不信感を抱く父によって面接が終わらせることになる12回目までには、ドミニクは精神病的な退行から抜け出していた。もちろんドルトも述べているように、この面接によってドミニクの精神病が治癒したわけではない。しかし少なくとも、死の欲動に降伏しかかっていた欲望は、この面接のなかで再び息を吹き返した。

(春木 歓待 P158)






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