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語りえぬものについては・・・その5


 6-5では「謎は存在しない」と言い切っている。しかし、オレたちは謎をいっぱい抱えている。この命題は、オレレたちの実感とは違う。もちろん、オレたちは問いの立て方を間違っているから、何かを謎だと思っている。だとしても、そこをどう考えるのか・・・という問いに対して「沈黙」しかないのは、不親切だろう。

 『論考』のヴィトゲンシュタインは、二階と一階の間にある踊り場から、泥沼にあえいでいるオレたちを半笑いで眺めているようなものだ。しかし、当然彼も同じ泥沼にいただろう。

 というわけで、『論考』を茶化すのはもうやめよう。少なくとも、『論考』ほどのしっかりとした基準は他にありえないから。





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