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生き延びるためのデリダ


 オレたちにはあまり大きな方法は残されていない。小さな方法をいくつか知っているだけ。

 二項対立についての解決を図ろうとするならば、そのどちらかを優位にするのではなく、二項対立の構造そのものを問い正さなければならない。

 あるいは、単数に対して、常に複数をぶつけること。単数の抑圧、単数の王、単数の欠如、単数の男、単数の女、単数の哲学、単数の言語、単数のセックス、単数の政治、単数にゴン・・・すべてに複数をぶつけること。

 単純に言うと、善悪や正誤の価値観は、一方的になってはならない。常に複数でなければならない。「片肺飛行」のジャーナリズムはダメだ、というのはデリダの理論からも証明される。

 さて、そのようにしてデリダは生き延びることを示唆したわけだが、それだけでは生きられないことをオレたちはよく知っている。哲学とは生き延びられない学問だ。だからこそオレたちは哲学的思考に魅了される。




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