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フロイトを更生させる


 十川幸司は、ラカンから離れフロイトそのものを継承しようとして、たくさん失敗している。

 それは実に、倫理的な姿勢として、つまり「モノ」のレベルにまでフロイトの精神分析を高めようという姿勢として、敬意の対象となりえる。

 オレはその姿勢に倣い、ひとつの乗り越えの儀式とみなし、フロイトそのものを更生させていくべきだと考えている。

 時代背景もあり、フロイトは多くのものを、分析し損ねてきた。

 それはラカンも同様だ。

 時代というのは残酷なもので、フロイトやラカンのような偉大な知性でも、取り残されてしまう。

 だからといって彼らの分析を全否定するのも大人げない。

 オレたちは長年にわたって「すべてではない」と付き合い続けているので、心底理解している。

 したがって、進むべき道はそれほど多くない。






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