普通精神病

　普通精神病の話が日本で出たのは『来るべき精神分析』の座談会だったような気がするが、元々オレはあまり気にしていない。

　エディプスが伴わなければ、構造としてビョーキなわけで、しかもエディプスは永遠に失われてしまった・・・となれば、これはもう文明としての敗北かと。

　つまりオレたちは全員ビョーキということだ。神経症という症例は減少し、あるいは妄想型精神病も減少し、鬱と自閉症が増加しているのは、神なき時代の、反転した神の逆襲というわけだ。

　集団で生きることを拒絶するということは、象徴界ネットワークの参加を拒否することになる。昔は患者はビョーキと戦っていたが、今はもう患者はビョーキと同一化する。だから精神分析は無力だ・・・という結論さえありうる。