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象徴はまず、・・・


 1953年といえば、前期の始まりだ。

 だからローマ講演は、初期論文だ。

 だからといって侮れない・・・というか、時代によって正しいとか正しくないとか判定するだけの根拠はどこにもない。

 あとになればなるほど間違える人もいる・・・デビュー作の衝撃を超えられない小説家は掃いて捨てるほどいるだろう。

 などという話はどうでもいいが、ローマ講演の白眉は「象徴はまず、物の殺害として現れる(E319)」という箇所だろう。

 論文の最後の方なんだが、ここでの「死」の姿は、後の「享楽」ほど洗練されていない、ということを踏まえてもじつに楽しい。

 オレたちの読書による快楽はこういうところにある。





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