オイディプス症候群
久しぶりに笠井潔『オイディプス症候群』(光文社文庫)読了。
後の『吸血鬼と精神分析』や前の『哲学者の密室』と同傾向の書き方だ。思想趣味たっぷりで、ミステリーとも密接に絡み合っている。探偵小説独特の重厚と暗鬱を感じさせるイメージ作りは見事だと思う。
最初は読むのが面倒だが、慣れてくるとそうでもなくなり、事件が起こると次が読みたくなる。そのような欲望を刺激する文体だ。
もしかすると、読者を限定する書き方なのかもしれないが、本格派ミステリーの本質はそういうオタク性にある、と考えれば違和感はない。外に広げるのは、もっと若年層向けのジャンルに任せればいい。ライトノベルとミステリーは相性が良いから。
とか書いているが、オレはあまり良いミステリーの読者ではない。こういう重めの文体が好きなだけだ。
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