抑圧とは何か

　さーて、内容は難しい話ではないんだが、説明するのは難しい。・・・というわけで、オレにとっては難儀な話題です。

　なぜ「抑圧」されるかというと、禁じられるから。なぜ禁じられるのかというと、それは社会の秩序を保つためです。あるいは自己の魂を守るためです。

　単純に例を書くと、赤信号で道路を渡ってはいけない。しかし、なぜかどうしても赤信号で渡ろうという欲望が生じたとする。主体は渡りたい自分と渡りたくない自分とに分裂する。

　いや、今うっかり分裂とか書いたけど違います。まず、「渡りたい」という気持ちを意識から隠そうとします。もう一つは「渡りたい」と思った自分(つまり自分の一部)を意識から隠そうとします。ここではこの２つが抑圧の過程としておきます。

　で、「渡りたい」という言葉を抑圧したあとに、例えば「渡哲也」などという無害な(?)固有名詞の痕跡を残したりします。赤信号の代わりに、(コント赤信号から関連させて)「ダチョウ倶楽部」という痕跡を残したりします。そうすれば「ええと、なんだっけ・・・渡哲也がダチョウ倶楽部から熱いおでんの湯を掛けられて・・・」と自分を騙すことが可能かもしれない。

　他方「渡りたいと思った自分」も隠します。なんだかよくわからないけど、抑圧されると自分の一部が意識から消えます。それは「無意識の主体」という集合的(一貫性のない)主体の一部となるでしょう。

　ただ一部が抜けても元の自分は100％のままです。一部が抜けたことを知らないから。そもそも「赤信号を渡りたい」ことは抑圧されているので、自分の一部を抑圧する必要があるのか、ということになりますが、たぶんエディプス期でスゴイ自己疎外の経験をしているので、その程度なら何度でも繰り返されるのでしょう。

　・・・・・・ちなみに、この例の問題の本質は抑圧ではありません。「赤信号をどうしても渡りたくなる」というその気持ちが問題です。つまり、それを抑圧として処理しなければならない、という心的過程が必要なことが問題です。でもまーその話は置いておきましょう。

　てゆーか、なんで「ですます」体になっているのか。それは書いてある内容にヤマシイことがあるという証拠だな、きっと。

　ま、抑圧については専門書を読んでください。フロイトの『夢解釈』(『夢判断』という訳もある)は事例が豊富でいいかな。フロイトの経験が多いのため、赤裸々に書けないところもあるようで、じつに楽しい。