問題と回答

・問題
　以下の文章についてあなたの思うところを簡潔に述べよ。ただし、回答文には「主体」「実体性」「デカルト」「連続体」という四つの単語を必ず使用すること。(制限時間25分)

「それ(引用者註：主体というカテゴリー)はどのように改変されようとも、どのように意識や無意識を賦与されようとも、それ自身の織りなす歴史的脈絡全体によって、偶然事に左右されることのない現前するものの実体性を、あるいは、自己への－関係の現前における固有なもの／同一的なもののアイデンティティを、指し示す」(デリダ『グラマトロジーについて』)

・回答例
「私はデリダの意見には与しない。なぜならば西洋哲学史におけるデカルト以来の主体に対する考え方は不十分だからだ。デリダは『実体性』を、主体の連続体から派生するものの一部ととらえているのだが、私の考えによると、その『実体性』は主体そのものではなく、『主体を支えているが、主体とは無関係なもの』だ。その論拠になるのは、ヘーゲルの弁証法だ。主体は、主体だけでは成立せず、また、他者は他者そのものでは成立しない。主体や他者が成立する場合、実際に起こっていることを想定すると、主体と他者は、デリダのいう含蓄的絡み合いではなく、お互いに全く相容れないような断絶的な差異性を前提としている。」

　いやこれはオレの「思うところ」であって、誰かのアレということでありませぬ。