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あなたはいま一体何を考えているのか [メモ]


 メモ。

 この思考強迫の本質は、人間に絶え間なく思考が強いられるということにある。換言すれば無思考状態(これは睡眠においてもっともはっきりした形で生じる状態だ)に耽ることで必要に応じてときおり悟性神経を休息させるという人間の生来の権利が、私の場合、私と交信する光線によって当初より阻害されてきた。つまり光線は、私が何を考えているかをひっきりなしに知りたがった。たとえば、単刀直入に--字句通り--「あなたはいまいったい何を考えているのか」と問われた。そして人間は周知の如く--あるときには--何も考えないでいることができるし、また他方何千ものことを同時に考えることができるのだから、これはまったく馬鹿げた問いで、それ故また、私の神経はこういった不合理な問いにはまったく反応しなかった。このため問いを発する側は間もなく思考偽造の制度に逃避せざるをえなくなった。たとえば上の「あなたはいまいったい何を考えているのか」という問いに対しては、 「この男は世界秩序のことを・・・はずだ」 (考えているという語を補う)という答えが勝手に与えられた。つまり、 「この男は世界秩序のことを・・・はずだ」という言葉を口に出して言うときと同じ振動を起こすことが、光線の作用によって私の神経に強いられた。

(シュレーバー回想録)





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繰り返される諸行は無常 [メモ]


 メモ。

つまり、すでに以前一度私のうちで生まれた考えはもう筆記されてしまっているわけだが、そういった考えが反復される際--もちろん多くの考えにおいて反復はまったく不可避だ。たとえば、朝起きたときの「さて顔を洗おう」とか、ピアノ演奏の際の「ここは美しい箇所だ」等の考え--そういった考えの芽ばえるのが知覚されるや、接近してくる光線に「我々はそれをもう知っている」 (話された通り書けば「わしらそんなこたあとうにわかっとる」)という決まり文句が筆記され、接近してくる光線に忠告として与えられた。

(シュレーバー回想録)






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