SSブログ

文化への不満 その2 [メモ]


 メモ。

 ふつうわれわれは「すべての人間の欲動刺激や欲求や性質には男性的なものと女性的なものが混在している」と言っているけれども、男性と女性をはっきりと区別できるのは、解剖学で、心理学ではない。心理学の分野では、男女の性別は曖昧で、せいぜいのところ能動性と受動性の区別ぐらいになってしまう。そして、無邪気にもわれわれは、能動性を男性的性格、受動性を女性的性格とをそれぞれ同列に置くが、これは人間以外の動物の場合、けっして例外なしにあてはまるものではない。両性的素質についてはいまなお不明のことが多く、これと欲動との関係がまだ明らかにされていないのは、精神分析にとっても大きな障害と言わざるをえない。それはともかくとして、すべての人間はその性生活において男性的願望と女性的願望とを、二つながら満足させようとするのが事実だと仮定すれば、これら二種類の要求は同一の相手によって満足させられることはないし、また、両方を分離してそれぞれを特別の方法で満足させることに失敗すれば、両方がたがいに妨害しあうという事態も予想される。いま一つ別の困難は、性愛関係にはそれに特有のサディズムの要素のほか、直接的な攻撃欲も相当量まじっていることが非常に多いところから生まれてくる。一週間もぶってくれないから良人はもう自分を愛していないといって嘆いた農婦の話があるが、こういう複雑な事情にたいし、性生活の相手が誰しもそれほどの理解と寛容を示してくれるとも限らない。

(「文化への不満」浜川訳、著作集3 P465)


 「性関係はない」はこの辺りの発想から発展、応用されたのではないかという意見があるようで、そう考えると興味深い。






nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント