常識的世界像 [メモ]
メモ。
『経験論と心の哲学』(岩波版)、42節より。
しかし、哲学者として語るとき、私は空間と時間のうちに存在する物理的対象からなる常識的世界像は実在性をもたない--すなわち、そのようなものは存在しない--と述べる十分な用意がある。あるいは、より少なく逆説的に(引用者註:逆説的ではない仕方で)述べれば、世界を記述し説明するという基準において、科学が万物の尺度だ。科学が存在するものについて存在すると述べ、存在しないものについては存在しないと述べる。
(引用終わり)
ポイントとなるのは「常識的世界像」だ。
これは、前述の「明白なイメージ manifest image」を示している。
なので、ガブリエル『なぜ世界は存在しないのか』(邦訳P149)で上記を引用しつつ述べているのは、やや恣意的だと思う。
というのは、セラーズの表現は「概念実在論」を認めないとすれば・・・という仮定を前提にしているからだ。
・・・セラーズは自らの立場を「心理的唯名論」と明言しているが、概念実在論を強く否定しているわけではない。
簡単に言うならば、概念実在論よりも科学的実在論の方が、より強固だという立場だろう。
そして、もちろんガブリエルは概念実在論を前提としている。
そういうわけで、オレはガブリエルの表現を「恣意的」と判断している。
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