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世界の概念 その3 [世界と意味]


3.たとえば無限空間に、相互に交渉のないガラス玉が、散らばって浮かんでいたとする。このときこの空間は、ガラス玉にとって一つの世界を成すといえるだろうか。上にみられた二つの条件をこの空間はみたしている。第一に、空間はガラス玉を含んでいる。第二に、ガラス玉はこの空間において在る。にもかかわらず、ガラス玉にとって、この空間は「世界」だとはいえない。空間がガラス玉にとって一つの世界を形成するためには、更に別の条件が必要だ。それは、ガラス玉を含む空間が、一つの統一を持つということだ。「統一」と「一」は区別されなければならない。「一」は単なる数の始めだ。これに対し、「統一」は、多のものを「統」べて「一」にしている。ゆえに「統一」は単なる一ではなくて、多を統べる一として「多」を含まなければならない。ところで多が何らかの仕方で一を成すためには、多は相互に何らかの仕方で関係し合うことが必要だ。その関係を通して、多は一に統合されるのだ。それゆえ、相互に無関係なガラス玉の併存は、一つの世界に含まれない。これに対し、もしもガラス玉が、たとえば相互に映し合うとか、引き合うとかいう仕方で関係し合う場合には、この空間はガラス玉が相互に関係し合う場所としての統一を持ち、ガラス玉を含むこの空間は、一つの「世界」としての性格を持つことになるだろう。同じことは、宇宙においてもいうことができる。星辰は無限空間に散らばり、それぞれの仕方で動きながら、しかし一つの「世界」を成す。それは、この宇宙が単なる空間ではなくて力の場で、その場のなかに在るすべての星辰は、統一的な力学の法則に従って動いているからだ。




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