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世界の概念 その2 [世界と意味]


2.たとえば「湖」を取ってみよう。それは水の全体だ。しかしそれだからといってわれわれは、「湖」が、この水、あの水、等から成る「世界」だとはいわない。湖には無数の魚が生きている。魚にとって「湖」は「世界」だといわれる。何故だろうか。たしかに湖は魚を含んでいる。しかし魚を全部寄せ集めたものが湖ではない。水と魚を含むものが湖だ。しかし、水と魚とを全部集めたものが湖だというだけでは、湖が魚にとって世界だという意味は理解されない。その意味が理解されるために、湖における水と魚との関係が考えられなければならない。水と魚は同じ資格で湖の部分を成しているのではない。魚は水「において在る」という仕方で水と関係しているのだ。「において在る」場所としての水は、そこに在るものとしての魚にとって他者だ。「において在る」場所としての水と、「において在る」魚との両方を含む全体だからゆえに、湖は魚にとって世界だといわれるのだ。このことは、他の世界についてもいえる。たとえば天はひとつの世界だといわれる。しかし単なる純粋空間だけならば「世界」とはいわれない。「天」はそこにおいて諸々の星が運航する場所を含むがゆえに「世界」といわれるのだ。すなわち「世界」は、それにとって世界となる要素とともに、その要素がそれ「において在る」場所としての要素を、自らのうちに含まなければならない。この二つの要素は非連続的で、一方は他方にとって他者の関係に在るのだ。





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