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世界の概念 その1 [世界と意味]


 山田晶先生が「世界」についてお書きになられた文章を紹介しよう。

 新岩波講座・哲学4『世界と意味』(1985)「一 世界の概念」より(語尾等をやや現代風にアレンジ)。


1.「世界」ときくとき、われわれがこの語のもとにまず了解するのは、何らかの「全体」を意味しているということだ。たとえば「世界史」ときくときわれわれは、それがある特定の民族の歴史ではなくて、古今東西すべての国々を含めた「全体」の歴史ということを了解する。また「自然世界」ときくとき、それが個々の自然物や自然領域を含めた「全体」としての自然ということを了解する。では、「全体」は常に「世界」だろうか。たとえば1枚の鉄板は多くの部分に分割される。その意味で、それは多くの部分から成る全体だ。しかしわれわれは、1枚の鉄板が鉄片から成る「世界」だとはいわない。これらの例はわれわれに、「世界」は全体だが、「全体」は必ずしも世界ではないことを教える。「全体」が「世界」と成るためには、なお別の表現が必要だ。それはいかなる条件だろうか。





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