4五角戦法その11 (6)基本図以前の△2八歩に▲7七角 [4五角戦法]
※2022/07/02に2箇所ほどコッソリと更新。※
(6)基本図以前の△2八歩に▲7七角
いよいよ最終回。
現時点で先手側から考えると、アマの4五角対策として有力なのはこれ。これで良ければ、先手は他の対策を考えなくてもよいので。
しかし、最後にメンドクサイのが残ってしまった。この形は『横歩取りは生きている』シリーズでは「若島・佐々木流」と呼ばれ、複雑で難解な手順が多い。ちなみに「若島」というのは詰将棋作家でお馴染みの(てゆーか、英文学者として有名な)若島正さんのことです。
さて、「△2八歩に▲7七角」に対してはいろいろあるけど、△7六飛だけを考えたい。仮に20手目~△8八飛成だと、▲同金(当然▲同角もある)とされ、△2九歩成とするしかなさそうだが、▲4八銀△3三銀▲8四飛とされると自信がない。
以下△8二歩▲2六飛△2二銀上▲2九飛△4五角となるが▲7八金で後手切れ筋。詳細は飯島本(P120-122)参照。
(ただし24手目~△3三銀で△3八歩はあるかも。また、▲8八同角の形での△2九歩成は一応先手良しという結論だが、変化はいろいろあってオモシロい。後手が良くなるのは無理にしても、「実戦的に難解」を目指した研究はできそう。)
ここでは「△2八歩に▲7七角」は△7六飛が最善としておく。以下是空さんの研究より。
20手目~△7六飛▲2八銀△2七歩▲3九銀△2六飛▲3八金△3三歩
以下、▲8四飛△2八角▲8一飛成△1九角成▲8三桂△7二銀▲9一竜△8一香▲7四歩△8三香▲7三歩成△同銀▲7二歩△8八香成▲7一歩成△5二金▲7二と△4二玉▲8八角△2八歩成▲7三と△3八と▲6二と△4四歩▲5二と△同玉▲5四銀で先手良し
※2022/07/02コッソリと更新 AI検討によると、上記△8三香では△2八歩成がまだマシ(ほぼ互角)らしい。各自研究願う。※
これは飯島本の変化(P130下のA図△4四歩まで後手優勢の評価)に対して▲5二と△同玉▲5四銀が好手。次に▲5一金以下の詰めろ。△同歩なら▲4四角で詰めろ飛車取りだ。これでは後手がダメなので、分岐を考えてみよう。
上記手順で分岐しそうなのは、23手目~▲3九銀(で▲2七同銀)、26手目△3三歩(で△3三角)、31手目~▲8三桂(で▲7四歩)、34手目△8一香で△8三銀、36手目~△8三香(で△2八歩成)、37手目~▲7三歩成(で▲9五角※飯島本の本筋)、46手目~△2八歩成(で△6四銀)。
これらの分岐を、後の方から順に確認する。
46手目~△2八歩成(で△6四銀)。後手としては▲5四銀を打たれるくらいなら、△6四銀とするべきかも。
また飯島本P130、36手目~△8三香に対して37手目~▲7三歩成ではなく、▲9五角として、以下△8四桂としているが、そこで▲8五歩が是空さん発見の手。
以下△2八歩成でも△9四歩でも、やはり先手が良さそうだ。
40手目~△2八歩成▲8四歩△3九と▲8三歩成△3八と▲7二と(詰めろ)△4二玉▲6一竜で先手優勢。
40手目~△9四歩▲8四歩△9五歩▲7三歩成△同銀▲8三歩成で先手優勢。
▲7四歩に対する36手目~△8三香で△2八歩成とするのは急ぎ過ぎ。東大将棋ブックス(P208)より。
36手目~△2八歩成▲7三歩成△同銀▲9五角△8四歩▲7四歩△6二銀▲8四角△3八と▲8一竜△3四歩▲7三歩成△2九飛成▲6一竜△4二玉▲6二竜△3三玉▲6八玉 で後手不利。
34手目△8一香で△8三銀。△8三銀には▲8七香△8四桂▲9五角△5二玉▲7四歩△同歩▲8二竜△4一玉▲8三竜△2八歩成・・・で形勢不明。▲9五角に△5二玉と上がり竜の金当たりを避ければ、後手は不利ながら何とか指せるかも。
31手目~▲8三桂で▲7四歩は以下の通り。東大将棋ブックス(P203~)より。
31手目~▲7四歩△2八歩成▲7三歩成△4二金▲9五角△3八と▲7二と△4一玉▲6一と△2九飛成▲2四歩△2二香▲7一竜△3二玉▲6八玉 で先手やや指しやすい。
ただし、41手目~▲2四歩に△3七馬という手があり▲6八玉△2四竜で後手有望という是空さんの説をどこかで読んだ気がする。
さらには34手目~△4二金で△3八ととし、▲6三とに△4二金▲9五角△4一玉とすれば先手の寄せが見えない。
26手目△3三歩で△3三角。以下は▲8四飛△8二歩▲5八玉で形勢不明だが、先手が指しやすい。
というわけで19手目~▲7七角から23手目~▲3九銀、31手目~▲8三桂、37手目~▲9五角の組み合わせを選択されると後手に希望がなさそう。これは世間には内緒にしておこう。・・・というか、オレが何かを見落としているだけだろうが。
次は19手目~▲7七角から23手目~▲2七同銀について。東大将棋ブックスでは後手よしだったが、今はどうだろう。以下は飯島本(P125~P127)より。
23手目~▲2七同銀△4五角▲2四飛△2三歩▲2五飛△3三桂▲同角成△同金▲7七銀△7五飛▲3六銀△3六同角▲7五飛△4七角成▲4八歩!△2九馬▲4五桂△3二金▲5三桂不成△8三馬▲8四歩△7二馬▲8五飛△8二歩▲5五飛△5二銀▲6一桂成△同馬 で互角となっている。
※2022/07/02コッソリと更新 なんと上記手順中▲4五桂に△2七角で後手有利というAIの検討結果が出たので、各自検討していただきたい。※
東大将棋ブックス(P200)では36手目~△4七角成までで後手よしだったが、今はその後の研究が進んで互角という評価。
しかし、42手目~△8三馬に対して▲8四歩ではなく▲4一飛と打ち、△5二玉に▲5五飛で先手良しではないか、という意見がネット上で出た。確かにその通りで先手が良い。
なので、42手目△8三馬ではなく△5二銀、40手目△3二金ではなく△6四銀、38手目△2九馬ではなく△8三馬など、いろいろ考えられ、いずれも難しい。
というわけで、後手番の立場からは残念ながら、△2八歩に▲7七角は手強い手順だとわかった。
しかし、今でも強豪やネット他での研究が進んでいるだろうから、紹介した情報はもう過去のものかもしれない。
それでもまー、苦労してまとめてみたのに間違いだらけだったらイヤだなー。そのときのために夜逃げの準備をしておこう。これから荷物まとめます。そして、夜逃げ屋本舗に電話する予定。
とにもかくにも4五角戦法の取りまとめは以上で終わり。
それではみなさん、また逢う日まで。
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